整形外科 “カルテの中身” 大公開|宮整形外科クリニック|和歌山市秋月の整形外科

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整形外科 “カルテの中身” 大公開|宮整形外科クリニック|和歌山市秋月の整形外科

整形外科 “カルテの中身” 大公開

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こんばんは。

宮整形外科クリニック、改め“MIYA CLINIC -肩/股関節/スポーツ & 整形外科”

院長の井口智揮です。

2023年5月8日に開院まで、いよいよ3ヶ月を切り、いよいよ多忙な時期に入ってきました。いよいよクリニックも看板の鉄骨も組み上がり、いよいよ概ねの外観が見えてきました。

少しずつ暖かい日が増えてきたり、急に寒くなったりの季節、皆様体調崩されておりませんでしょうか。

 

さて、本日は大公開!“整形外科カルテの中身”をご紹介したいと思います。

 

私が、研修医を終え、医師3年目、整形外科医1年生のひよっこだったころ、当時の部長に患者さんの相談をする際、たびたび言われたことがあります。

「僕に患者さんの相談に来るときは、年齢・性別・主訴(患者さんの一番の訴え・困っていること)を一番に言いなさい。僕くらい整形外科をやってるとそれだけで大体の病態はわかる。」

当時の私にとっては、『ホンマでっかー??』なお話ですが、実際のホンマの部分もあります。

そしてもちろん、ホンマでない部分もあります。

 

当院のカルテは

・年齢

・性別

・主訴(一番の困りごと、今日病院を受診しようと思ったきっかけ)

・既往歴

・現病歴

・職業

・趣味/スポーツ歴

・現症(理学所見)

・画像所見

・処置

・処置の効果

・アセスメント

・治療方針

・理学療法へのメッセージ

・ときどき、私のつぶやき

で成り立っています。

 

中でも

・現病歴

:症状が出た時期、一度の怪我なのか、少しずつ悪くなってきたのか?症状が出てから今までの変化は?? 少しは改善?横ばい?悪化??

・職

:力仕事なのか、デスクワークなのか、

 農業なのか? 農業なら野菜を作っているのか?柿やみかんを作っているのか?

 主婦“業”なのか(実は一番の激務??)

・趣味/スポーツ歴

:ゴルフ、テニス、バドミントン、、

 映画鑑賞、読書、スマホゲーム、

 困っている症状によって、趣味は制限されているか

・現症(理学所見):★最重要ポイント★

時々、終始イスに座ったまま、患者さんの話を聞いて、「〇〇(病名)ですね。」なんて神がかった先生もいらっしゃいますが、やはり診察・理学所見は最重要ポイントだと考えています。

同じ手順で、同じ手技で愚直に所見を取ること、同じ画像所見でも1週間前と今日、今日と2週間後では理学所見が異なること、その症状経過も大事な所見であること。一番の症状とは離れた場所の機能が悪く、その場所に痛みが出ている可能性もあるため、全身の中での要となる部位の機能を評価すること。

少し難しいことも書きましたが、部長先生がおっしゃられた年齢・性別・主訴に加え、これら“機能診断”を加えることで正しい診断に近づき、それに対し処置やリハビリテーションを介入し、症状がどう変化したかによって軌道修正をしていく。

この経過がカルテの中に詰まっている。と思っています!

 

例えば、、、

**********************************************

27歳 男性

主訴:右腕が上がりにくい 時々痛む

既往歴:右肩反復性脱臼でop

現病歴:数週間前から、仕事やゴルフの後、右肩が痛む。数日前、ゴルフ練習場で200球くらい打った後、ビールジョッキを持ち上げることができなくなったため受診。

職業:3年目(仕事はできているが、辛いことも多い日々)

趣味・スポーツ:スキー・ゴルフ

現症

AE.A    170   170

AE.P   170   170

ER1/2  90/90    90/90

IR2   0    0

Add   T12    T10

Caff   +    –

whipple   –    –

O’B   –    –

ISP   4   5

SSC   5   5

Painful arc   ±    –

Biceps   5    5

:腱板(純粋なISP)不全症状あり。年齢的には腱板断裂は考えにくい。

→肩甲骨部ガングリオンによる肩甲上神経麻痺を疑う

次回、MRIで精査(確認)

と、かなりマニアックですが、

たしかに同じ手順で同じ評価を続けていれば、所見の違いでマニアックな診断を疑い、MRIで病態を確認することができます。(ちなみにお気づきでしょうか、この患者は3年目当時の私です。。)

 

少し専門的な内容になりましたが、当院のみならず、整形外科を受診される患者様は、

本文中に太字で書きました

・主訴

(一番の困りごと、今日病院を受診しようと思ったきっかけ)

・現病歴

:症状が出た時期、一度の怪我なのか、少しずつ悪くなってきたのか?症状が出てから今までの変化は?? 少しは改善?横ばい?悪化??

・職

:力仕事なのか、デスクワークなのか、

 農業なのか? 農業なら野菜を作っているのか?

 柿やみかんを作っているのか?

 主婦“業”なのか(実は一番の激務??)

・趣味/スポーツ歴

:ゴルフ、テニス、バドミントン、、

 映画鑑賞、読書、スマホゲーム、

困っている症状によって、趣味は制限されているか

を担当医に伝えると、スムーズに診断・治療にうつれるカモしれません。

 

そんな“整形外科カルテの中身”を紹介させていただきました。 少しでもお力になれれば幸いです。