整形外科 “カルテの中身” 大公開
- 2023年2月16日
- お知らせ
こんばんは。
宮整形外科クリニック、改め“MIYA CLINIC -肩/股関節/スポーツ & 整形外科”
院長の井口智揮です。
2023年5月8日に開院まで、いよいよ3ヶ月を切り、いよいよ多忙な時期に入ってきました。いよいよクリニックも看板の鉄骨も組み上がり、いよいよ概ねの外観が見えてきました。
少しずつ暖かい日が増えてきたり、急に寒くなったりの季節、皆様体調崩されておりませんでしょうか。
さて、本日は大公開!“整形外科カルテの中身”をご紹介したいと思います。
私が、研修医を終え、医師3年目、整形外科医1年生のひよっこだったころ、当時の部長に患者さんの相談をする際、たびたび言われたことがあります。
「僕に患者さんの相談に来るときは、年齢・性別・主訴(患者さんの一番の訴え・困っていること)を一番に言いなさい。僕くらい整形外科をやってるとそれだけで大体の病態はわかる。」
当時の私にとっては、『ホンマでっかー??』なお話ですが、実際のホンマの部分もあります。
そしてもちろん、ホンマでない部分もあります。
当院のカルテは
・年齢
・性別
・主訴(一番の困りごと、今日病院を受診しようと思ったきっかけ)
・既往歴
・現病歴
・職業
・趣味/スポーツ歴
・現症(理学所見)
・画像所見
・処置
・処置の効果
・アセスメント
・治療方針
・理学療法へのメッセージ
・ときどき、私のつぶやき
で成り立っています。
中でも
・現病歴
:症状が出た時期、一度の怪我なのか、少しずつ悪くなってきたのか?症状が出てから今までの変化は?? 少しは改善?横ばい?悪化??
・職業
:力仕事なのか、デスクワークなのか、
農業なのか? 農業なら野菜を作っているのか?柿やみかんを作っているのか?
主婦“業”なのか(実は一番の激務??)
・趣味/スポーツ歴
:ゴルフ、テニス、バドミントン、、
映画鑑賞、読書、スマホゲーム、
困っている症状によって、趣味は制限されているか
・現症(理学所見):★最重要ポイント★
時々、終始イスに座ったまま、患者さんの話を聞いて、「〇〇(病名)ですね。」なんて神がかった先生もいらっしゃいますが、やはり診察・理学所見は最重要ポイントだと考えています。
同じ手順で、同じ手技で愚直に所見を取ること、同じ画像所見でも1週間前と今日、今日と2週間後では理学所見が異なること、その症状経過も大事な所見であること。一番の症状とは離れた場所の機能が悪く、その場所に痛みが出ている可能性もあるため、全身の中での要となる部位の機能を評価すること。
少し難しいことも書きましたが、部長先生がおっしゃられた年齢・性別・主訴に加え、これら“機能診断”を加えることで正しい診断に近づき、それに対し処置やリハビリテーションを介入し、症状がどう変化したかによって軌道修正をしていく。
この経過がカルテの中に詰まっている。と思っています!
例えば、、、
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27歳 男性
主訴:右腕が上がりにくい 時々痛む
既往歴:右肩反復性脱臼でop
現病歴:数週間前から、仕事やゴルフの後、右肩が痛む。数日前、ゴルフ練習場で200球くらい打った後、ビールジョッキを持ち上げることができなくなったため受診。
職業:3年目(仕事はできているが、辛いことも多い日々)
趣味・スポーツ:スキー・ゴルフ
現症
肩
AE.A 170 170
AE.P 170 170
ER1/2 90/90 90/90
IR2 0 0
Add T12 T10
Caff + –
whipple – –
O’B – –
ISP 4 5
SSC 5 5
Painful arc ± –
Biceps 5 5
:腱板(純粋なISP)不全症状あり。年齢的には腱板断裂は考えにくい。
→肩甲骨部ガングリオンによる肩甲上神経麻痺を疑う
次回、MRIで精査(確認)
と、かなりマニアックですが、
たしかに同じ手順で同じ評価を続けていれば、所見の違いでマニアックな診断を疑い、MRIで病態を確認することができます。(ちなみにお気づきでしょうか、この患者は3年目当時の私です。。)
少し専門的な内容になりましたが、当院のみならず、整形外科を受診される患者様は、
本文中に太字で書きました
・主訴
(一番の困りごと、今日病院を受診しようと思ったきっかけ)
・現病歴
:症状が出た時期、一度の怪我なのか、少しずつ悪くなってきたのか?症状が出てから今までの変化は?? 少しは改善?横ばい?悪化??
・職業
:力仕事なのか、デスクワークなのか、
農業なのか? 農業なら野菜を作っているのか?
柿やみかんを作っているのか?
主婦“業”なのか(実は一番の激務??)
・趣味/スポーツ歴
:ゴルフ、テニス、バドミントン、、
映画鑑賞、読書、スマホゲーム、
困っている症状によって、趣味は制限されているか
を担当医に伝えると、スムーズに診断・治療にうつれるカモしれません。
そんな“整形外科カルテの中身”を紹介させていただきました。 少しでもお力になれれば幸いです。